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「これはいけない!」と鳥肌が立つほど焦った日

年も終わりに近づいて、指を折って数えてみる。

あれからもう2年4ヶ月も経ったのだ…。

2018年の8月。直近で言えば、私が一番大きな衝撃を受けた時だった。

 

IBMの「天城会議」に出席した際、人口問題の専門家による「高齢化のすすむ日本の現状と予測」

についての講演を聞いた。それまでも高齢化の結果にまつわる各種数字は見たことはあったけれ

ども、詳細にわたる専門家のプレゼンテーションは、今までしてきた想像がただの幻想だったこ

とに気づかせてくれた。

「人の数が減る」ということは、一人一人の生活に多大な負の影響を与えるのだ。

「背筋が凍る思い」としか言い表せなかった。

 

とりわけ、日常生活の安全が担保できなくなることには、強い危機感を覚えた。

消防車を呼んでも「若い人がいないから来れる人がいない」など、考えたことあっただろうか。

どんなに優れた車椅子があっても、「壊れたら直してくれる人がいない」のなら、歩けなくなっ

たらどうなるのだろうか。

 

でもこれが現実なら、私たちは何ができるのだろう。

 

当然、高齢化による社会の変化には、産業界も動き出している。医療はもちろんのこと、サプリ

メントを含むアンチエイジングのための健康食品や医薬品、生活インフラの向上のためのテクノ

ロジー、高齢者のメンタルケア、ネットによる診療やサポートのシステムなど、たくさんある。

それぞれの分野で成果が上がることに、とても期待している。

 

では、私ができることは何だろう。

 

ずっと気になっていることがあった。

上に挙げた製品やサービスは、あれば役に立つ。

役に立つけど、根本的に変わるのは本人のいわば「生きる力」ではないだろうか。

薬が開発されたとしても、薬が病気を治すわけではない。当人の体が治すための条件を整えてい

るだけなのだ。

精神的に落ち込んでいる人に、どんなアドバイスをしても、アドバイスは提案に過ぎない。当人

の考え、想い、体のエネルギーが刺激を受けて反応しなければ何も起こらない。

 

「生身の人間が生きている」ということが根本にあって、そこを改善しないと変革は起きないと

私は思うのだけど、どうやらそれを十分に感じ取っていない人が多い気がする。

例えばコロナの議論でも「高齢者」を一括りに「免疫力が低いから、外に出ないように」と切り

捨てているような感じを抱くのは、私だけだろうか。外に出ないのは良いけれど、そもそも出た

がらないのだから、他のことを言わないと。

「年齢に関わらず免疫力はあげられるのだから、しっかりと免疫力をあげましょう」という発想

を持っている人はいないの?

 

さて、背筋の凍る思いをして考えて、強く決心した。

いくつになっても生きている限り、環境の変化に適応して生き抜くために、誰でも成長し続けて

いること、できることを伝えていこう。

もちろん「そう強く思いこめばそうなる」という妄想念力系などではない。現実を直視して、行

動を起こさなければ、何も変わらないのだから。妄想している間に、ただただ劣化していくだけ

である。

 

私には、「間違った思いこみを捨てて、軽やかに行動して爽やかな風が吹き抜けるような感覚を

抱いて生きていけるスキル」が数えきれないくらいある。たくさんのお弟子さん達が長年取り組

んで示してくれた結果もある。役に立ててほしい。だから、早く伝えなければ。

 

5年経てば、50歳は55歳に、70歳は75歳に、90歳は95歳になる。「年取ったからできない」と

思い込んだまま、成長できる可能性があることに気づかないと、5年経てば、もっと難しくなる。

頭・心・体にしみこんだクセ(習慣)を変えることが。

習慣を変えるのは、練習なのだ。だから、気軽に試してみよう。

 

ところで、「高齢化が進むので高齢の人材を生かして・・・」という言葉をよく見聞きするけど、

「人材」が「仕事ができる能力」「労働力」という意味で使われている。

そんな取り扱いでは、生かされようがないのでは?

生身の人間が生きているのだ。

私は、生きている限り、毎日成長する喜びを感じながら、周りの人と力を合わせて生命を愉しむ

人で溢れている「世界で初めての国」にしたいと強く思った。2年4カ月前のことである。

 

興味深いもので、そう決意すると「気の世界」では大きな変化が起き始め、海流に乗ったような

感覚が起きはじめた。

「気は形に先行する」ので、現実は結構「激動」だったけれども、ブレずに全力で泳いできて、

本当に楽しかった!新しい流れは止まらない。

 

数えきれないくらいたくさんの方々の支えをいただき、お力添えをいただきました。

心から感謝申し上げます。

 

私は、2021年を意気揚々と迎えようとしています。

 

ぜひ、素晴らしい一年をお迎えください。

                                山口令子